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記録だけで見る長嶋茂雄

野球

記録にも記憶にも残る選手

メジャー1年目終えた帰国会見で「記録はイチロー君に任せて、記憶は僕に任せて」と言ったのは、新庄剛志。しかし、日本球界には記録にも記憶にも残る名選手が一人だけ存在する。それが長嶋茂雄である。

先日(2025年6月3日)、訃報が伝えられ日本中が悲しみにつつまれた。もはや伝説となっている、デビュー戦での全てフルスイングによる4連続三振や天覧試合でのサヨナラホームランなど、記憶に残る場面のいかに多いことか。そして、その人柄や華やかなプレイもあわせ、誰からも愛される選手だった。

そんな「記憶」のほうはよく語られて皆の良く知るところであるが、実は記録のほうも凄い。ここでは、あまり一般的には語られることの少ない、記録だけで長嶋茂雄の凄さを見ていこう。

まずは初年度だが、これがとにかく凄い。29本塁打、92打点で本塁打王と打点王の二冠。打率は2位の.305と、ほとんど三冠王という凄い成績で、さらには最多安打を記録、盗塁もリーグ2位の37と活躍し、新人王に選ばれた。当然だろう。

なお、二塁打の34もリーグ最多で、三塁打だけは田宮謙次郎に1本及ばず8本に終わり、「二塁打・三塁打・本塁打のすべてでリーグ最多」という大記録を逃している。これは今でも破られていないし、本塁打と三塁打の両方で最多を取れる人間などいないから、この時達成していればアンタッチャブルな記録になっていたはずだ。

2年目のジンクス

プロ1年目からこれ以上の成績を残した選手はいないし、これからも出てくることはないだろう。そして、2年目である。最近は村上 宗隆(ヤクルト)、近本 光司(阪神)、牧 秀悟(DeNA)など、1年目と遜色ない成績を残す選手が増えてきているが、その昔は2年目のジンクスと言って1年目に活躍した新人は2年目には大幅に成績を落とすことが多かった。

そして長嶋茂雄の2年目は、シーズン半ばでは3冠ペース。最後は本塁打数が伸びずに、打率.334(首位打者)、本塁打27本(リーグ3位)、82打点(リーグ4位)という素晴らしい成績を残し、2年目のジンクスなどどこ吹く風という活躍であった。

ちなみに、伝説となっている天覧試合でのサヨナラホームランがこの2年目の話で、たった2年で記憶にも記録にも残る選手になっていたようだ。しかし、この2年目の成績も凄い。前年度に取れなかった首位打者を取り、本塁打・打点もきっちり数字を残している。

そして3年目から9年目までも全く成績は崩れない。デビューからトップスピードで、それを9年も続けた選手など一人もいない。

3年目 打率.334(首位打者)、16本塁打、64打点、31盗塁(2位)
4年目 打率.353(2位)、28本塁打(本塁打王)、86打点(2位)、35敬遠は、当時の日本記録
5年目 打率.288(5位)、25本塁打(2位)、80打点(2位)、18盗塁(3位)
6年目 打率.341(首位打者)、37本塁打(2位)112打点(打点王)
7年目 打率.314(4位)、31本塁打(3位)90打点(4位)
8年目 打率.300、17本塁打、80打点(2位)
9年目 打率.344(首位打者)、26本塁打(2位)105打点(2位)

ここまで長く高いレベルで打率も残し、長打も放ち、さらに走れる選手。今の阪神でいうと近本と佐藤輝、両方のいいところを取ったような選手である。成績もそうだが、ここまでほぼフル出場。身体が強いのも凄い。

11年目からも凄い

10年目で、打撃ベスト10から漏れるなど不調となったと記録されているが、それでも打率.283、19本塁打、77打点というから、どれだけ期待され、そしてそれに応えてきたのかがよく分かる。

これで終わっても相当な記録に残る選手だが、11年目にまた息を吹き返す。

11年目 打率.318(2位)、39本塁打(3位)、125打点(打点王)の成績で4回目のセ・リーグMVP
12年目 打率.311(3位)、32本塁打(4位)、115打点(打点王)
13年目 打率.269、22本塁打(5位)105打点(打点王)
14年目 打率.320(首位打者)、34本塁打(2位)86打点(2位)の成績で5回目のセ・リーグMVP
15年目 打率.266、27本塁打(4位)、92打点(3位)

16年目、17年目は流石に成績を落とし、(それでも、打率.269、14本、76打点と打率.244、16本、55打点)引退となった。とんでもない成績である。

獲得したタイトル

首位打者:6回(右打者記録、セ・リーグ記録。3年連続は右打者タイ記録、セ・リーグタイ記録。)
本塁打王:2回
打点王:5回(セ・リーグ右打者記録)
最多出塁数:3回
最多安打:10回(6年連続・通算10回は共に日本記録)

15年という長い間、ほぼフル出場し、あらゆる面にこれだけレベルの高い記録を保つのは、よほど身体が強く、野球センスが無くては難しい。記録だけ見てもえげつないが、これでプレイに華があって勝負強いとは恐れ入る。記録だけでも近本と佐藤輝を足したような超人だが、ここに新庄の「記憶」を合わせた選手だったのか。ご冥福を祈る。

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