毒親の5つのタイプ
毒親と言えば「滋賀医科大学生母親殺害事件」として知られる、長期に渡る教育虐待を受けた加害者である娘Aが、被害者となった母親Bを刺殺した事件が思い出される。
なお、毒親にはタイプがあると言われ、それは過干渉(過度な生活や人間関係への干渉)、投影(子供に自分の希望や理想を投影する)、否定(能力や人間性を否定する)、負い目(不幸をすべて子のせいにする)、放任(無関心、放置)の5つである。
この事件は、そのうち「過干渉」「投影」「否定」「負い目」型の毒親が被害者となった事件である。
事件の概要はこうだ。母親であるBは、幼少期から娘Aが医師になることを願い、医学部に合格するため厳しい教育を受けさせた。本人も小学生の頃は外科医になることを希望していたが、中学生頃から成績が悪くなり、高校卒業前あたりでは医師になりたいとは思わなくなっていた。
しかし、Bの娘を医師にするという思いは強く、Aへの干渉・監視はますます強くなっていった。9年間の浪人生活を経ても合格できず、助産師になることを条件に、ひとまず滋賀医科大学医学部看護学科に入学し、助産師になることを求められた。
しかし、助産師試験に不合格となってしまい、Bは激高する。助産師試験に合格するための浪人生活にもう耐えられないと思った娘Aは、Bを殺害するほかないと思い、用意していた包丁でBの首を数回刺して殺害する。殺害後、AはSNSに「モンスターを倒した。これで一安心だ。」と書き込んだ。
酷い毒親
典型的な「過干渉」「投影」「否定」「負い目」型の毒親である。よくもこんなに長い間、酷い虐待に耐えていたと思う。犯行後、逮捕され裁判を受けたAは、一審の大津地裁で懲役15年(求刑懲役20年)の後、控訴審の大阪地裁で懲役10年と減刑され確定した。
殺人は許されたことではないが、同情の余地があると認定された結果の減刑だろう。確かにAはBから酷い扱いを受け続けている。
・ 親族には京都大学医学部に合格したと嘘をつき、娘にも嘘を強要させる。
・ 携帯を取り上げられる。隠れて所持していたスマホを取り上げ叩き壊し、そのことを謝罪させ土下座させる。またその様子を撮影する。
・ 成績が悪いと激高、包丁を持ち出しもみ合いになり、腕を切りつけられる。
・ テストの点数を改ざんしたことを知って、熱湯を太ももにかけてやけどを負わせる。
・ 目標の偏差値との差を足りなかった分、鉄パイプで叩く。背中はアザだらけだったという。
・ 自由な時間を与えないようにと、一緒に入浴していた。
このような酷い言動もあったという。「助産師になることが条件で大学に入れてやったのだから、助産師になれないんなら大学なんて辞めてしまえ!」「またお母さんとの約束を破りやがって!嘘つき!ばか!死ね!」
本人こそ気が付かない
こんな状況であるから、3度にわたり家出をしているが、その度に雇われた探偵や通報を受けた警察官によって、連れ戻されたという。誰かに助けを求めれば良かったのではないかと思うが、母娘という関係であるからこそ、他人が干渉するのは難しく、(家族の問題ですから)と言われれば手を引くしかない。
それに、こういった極限状態に長い間置かれていると、状況を客観的に見ることも難しく、視野も狭くなり「いずれ、私か母のどちらかが死ななければ終わらなかった」(控訴審での娘の申述)という考えにしか至らない。
また、獄中からの手紙では「私もそうでしたが(自分は教育虐待を受けている)と本人こそ気が付かないし、気付きたくないし、周囲に気付かれたくないです。」とあり、こういう気持ちもあって、助けを求めることは難しいのがよくわかる。
同様の事件
同様の事件として、慶應義塾大学生父親刺殺事件と言われる事件がある。被害者である父親は慶應義塾大学法学部を卒業し、衆議院議員の秘書などもしていたエリートで、当時は不動産管理をする会社の経営者だった。
息子は公認会計士を目指していたが、合格には至らず、通っていた公認会計士の学校も辞めたいと思っていたが「父親に言えば殴られる」と周囲に漏らしていた。この件では「暴力」もなされていたようである。
この事件では加害者である息子の精神状態が悪く、母親は精神科への受診を希望していたが、被害者である父が精神病であることを認めたくないからか、病院には行かせなったという。先ほどの滋賀医科大学生も同様に、毒親のような家族の問題は、それを被害者も隠す(普通の家族でないことを気づいてない、気づかれたくない、認めたくない)力が働いてしまうことがある。
これが問題を密室化させ、解決を遅らせる原因のひとつになっている。私も毒親には泣かされているが、その程度は軽く、「否定」「放任」がメインでそこに対象は「負い目」があり「過干渉」(放任だから当たり前)と「投影」が無かったのは助かっている。それでも辛いことには違いない。


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